2019年02月11日

北海タイムス物語

2年前に刊行された『北海タイムス物語』(増田俊也著、新潮社刊)が、今日からNHK-FMの青春アドベンチャーでラジオドラマとして放送されるそうです(月〜金、21:15〜、全10回)。
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北海タイムスは20年ほど前に廃刊となった北海道の日刊紙で、今では覚えている人も少なくなっているのを寂しく思いますが、特に富良野沿線などでは北海道新聞に十分対抗しうるシェアがあり、道新:タイムス=2:1くらいの比率だったはずです。私の家でも祖父はタイムス、父は道新と読み分けしていました。
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いまでこそ道新は電子版で地域面を全部読めるようになりましたが、つい最近まで道新では自分の住んでいる地域以外の北海道の記事が著しく少ないという欠点がありました。
その点、タイムスは晩年ですが、地域面に全道分8面を割いていた時期があり、新聞を取るならタイムスだと思っていたところ、1998年9月に廃刊となりました。当時、北海タイムスを置いているコンビニや売店もほとんどなくなっていて、最終号を地下鉄大通駅の売店まで買いに行ってNHKにインタビューされた一人でもあります。大学4年生のときのことでした。
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当日は各テレビ局がタイムスの廃刊をトップニュースにしていたことからも、北海道における影響力の大きさがわかるかと思います。
ただ、かなり無理をして新聞を出しているのだろうなとは常に感じていました。少人数の支局では記事に偏りがあったり、道新との競争意識による強引なスクープで嫌な思いをした人もいるのではないかと思います。当時のピリピリとした雰囲気を思えば、いまの道新一紙体制は実に平和ではあります。
『北海タイムス物語』を読んで、やはりそうだったのかと思うとともに、想像を絶する過酷な職場環境に驚きました。
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一方で、北海道の文化への貢献という意味で、北海タイムスは比類なきものがあったように思います。故・宮内令子氏による『北海道の女』は、この取材記事がなければドラマ「鬼峠」は生まれず、鬼峠フォーラムもなかったわけです。1986年北海タイムス社刊の『北海道秘湯・名湯・露天ぶろ』は、いまに続く温泉ブームの火付け役となった本でした。いずれも私の人生を変えた本と言って差し支えありません。
posted by onitoge at 20:27| Comment(1) | 日記

2019年02月10日

火の明かり

今年もスローフードしむかっぷの新年会に参加させてもらいました。
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会場は昨年『廃材もらって小屋でもつくるか』を上梓された川邉さん宅の離れ。ようやく初めてお訪ねすることができました。まずは、餅つき。この下金山地区はもち米の産地ですが、そのもち米を薪ストーブの窯で蒸してつきます。私の実家にも木の臼はあって昔は餅をついたようですが、既に朽ちていて電動の餅つき機を使っていましたので、今になってこういう本物の餅つきを体験させてもらえるのは感動です。
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食事は猪肉、ししゃものほっちゃれを干したの、酒粕の煎餅など、さすがにスローフードの集まりなので凝っています。
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本にも書かれていますが、川邉さんは火を大事にされていて、家の内外のいろいろなところで火が燃えていました。驚いたのは、窓には南側だけガラスが入っていて、北側はガラスが入っていないこと。これで雪が吹き込むことはないそうです。昨日は最高気温が-10℃ほどの厳寒の日で、室内の空気温度は氷点下でしたが、それでも火があることでそれほど寒い感じはありませんでした。
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日が暮れて、薪ストーブと火鉢、ローソクの明かりだけで新年会が続きます。この辺の地域では、地域の神社の祭りなどでも、こうした火の明かりだけの直会が行われているそうです。登山やキャンプなどではなく、日常の中にこうした風景が残っていることに感銘を受けました。

電灯が伝説やお化け妖怪などの不思議な話を消したとする説もありますが、こういう山の暮らしの中には、不思議な話がまだ残っているかもしれません。しかしながら今のところそういう話を聞いたことはほとんどありません。山の伝説には、内地と北海道で断絶があって、近代化時代の北海道と現在の北海道でも断絶があるようです。しかし、これほど本来の「生活」が残っている場所で、本当にそうした話が残されていないのか、単に誰も知らないだけではないかという思いもあり、残されているものであれば何とか見つけていけないかと思うところです。
posted by onitoge at 18:17| Comment(0) | 日記

鹿と鬼

1週間前のこと、苫小牧市美術博物館で開催中の「美々鹿肉缶詰工場展 よみがえるまぼろしの工場」を見学してきました。
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缶詰工場は北海道の歴史の本などにはたびたび出てきて気になる存在でしたが、工場ができた次の年には大雪で鹿が激減し、稼働したのはわずかの期間だったため、実態はわかっていないことが多いようです。
それでも缶詰のラベルは美しく、当時は高級品だったのでしょうが、外国人からの評判も良かったようです。
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缶詰工場を閉鎖に追い込んだ豪雪によるエゾシカの大量死から今年で140年。いまでは道内各地で鹿肉の缶詰がつくられ、庶民でも手に入るようになりました。ありがいことです。
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苫小牧に行った足で、歌志内のなまはげ祭りを見てきました。室蘭本線から、岩見沢、砂川、上砂川と通って歌志内に向かうと、まるで時間を旅行しているような感覚となりました。
なまはげはなぜわざわざ子供を泣かせるのだろうかと、私自身子供のころから嫌なものだと思っていましたが、祭りでは子供にまっすぐ育ってもらいたいという思いとともに、無病息災、家内安全への純粋な祈りが感じられ、昨今の醒め切った世情の中で心洗われる思いがしました。
posted by onitoge at 17:32| Comment(0) | 日記