
パネル展のほか、昨日、今日と7つのステージイベントが企画されており、そのうちの一つです。

テーマは「鉄道系学芸員から見た、鉄道観光資源」ということで、釧路市博物館、有島記念館、木田金次郎記念館、小樽市総合博物館、浦幌町立博物館の学芸員の方によるパネルディスカッションが行われました。学芸員が鉄道をどう見ているのか、非常に興味があったところです。
まず、何人かの方がおっしゃっていましたが、鉄道ファンなのではなく、仕事として鉄道を見ているということです。そのため、「鉄道観光資源」という見方とは若干かみ合わないところがあったように思います。
むしろ、学芸員として何をすべきなのかということを、それぞれかなり明確におっしゃっていました。学芸員は恵まれない境遇にあるという話もありましたが、それだけに仕事の意味を常に考えざるを得ないのでしょう。
車両を多数保存公開している小樽市総合博物館では、来て満足してもらえることが観光、そのため保存状態をよくすることに努めているが、一方で保存するためには非公開が理想という指摘がありました。
また、活用、応用が最近の流行だが、記録、記憶をつむぎ基礎体力をつけることが博物館の役割であるとか、情報を残すために企画展を行いその結果情報も集まるとか、新鮮な視点がありました。
魅力的な企画展や、本の出版に携わっている学芸員なども、思いのほか保守的な仕事をしていることを知りましたが、一昔前は博物館といえばほとんど考古学と自然史しかなかったわけで、産業系でこれだけの話が膨らむようになったのは大きな変化です。

赤れんが庁舎では、道立文書館の企画展「殖民地区画図」も行われていました。最近、殖民地区画もだいぶん認知度が上がってきましたが、まだまだその全体像や地域計画上の意味は知られていないと思いますし、今後の北海道を考えるうえでも押さえておくことが多いように思います。殖民地区画とは何であったか、その制度の中でどんな試行錯誤が行われてきたか、あるいは屯田兵村、御料地、大学農場など殖民地区画によらない区画設計との違いなど、もっと掘り下げて紹介していってほしいと思います。