自分のこれからの仕事を考えたとき,いろいろなものをたたんでいくという役目を担っていくことになるのではないかという気がしています。歴史あるものの最後をどう閉じていくのか,その場で見てみたいという思いから,留萌駅でのお別れセレモニーに行ってきました。
留萌駅までは,旭川から沿岸バスで向かいました。留萌本線目当ての人は,2,3名と見え,意外と少なかったです。
お別れセレモニーは,列車の遅れの影響で14時30分開始。
JR北海道の須田会長のご挨拶。鉄道事業者として,なくしたくてなくすわけではない,やむを得ないのだという感じが伝わってきます。
続いて,留萌市長の万感の思いがこもった挨拶。お二方の挨拶は,最後に全文を掲載します。
深川からの増毛行列車は,30分遅れで到着。混雑のため,本日の留萌本線は終日30分〜40分遅れで運行していたようです。ただ,車内は激混みというほどではありませんでした。
多くの方に見送られて発車しました。各駅で見送りや乗降される方も多数。
賑わう増毛駅。
増毛駅のお別れセレモニーは残念ながら,JR北海道の中島社長の挨拶には間に合いませんでした。

みなさんに見送られて発車しました。
まだ景気が上り坂にあり,新しいものにとって代わるという意味での,国鉄末期の廃線と異なり,今回の廃止は,本当の意味でのインフラの縮退が始まる歴史的な転機であるように思います。人の終わりは不可避で,その最期の迎え方は古来からのやり方で形式化されていますが,ものの終わりは我々の考え方しだいです。ものの終わりにこれからどう向き合っていくのか,今回の経験も一つの糧として,考えていければと思います。
【JR北海道 須田征男会長挨拶】
みなさんこんにちは。ご紹介いただきましたJR北海道の須田でございます。本日は年末大変お忙しい中,またお寒い中,ここにございますありがとう留萌本線,留萌・増毛間のお別れセレモニーにご参加いただきまして,誠にありがとうございます。
この留萌本線,留萌・増毛間,95年という大変長い歴史でございますけれども,その間,沿線の皆さんとか,お客様,大変長い間,ご利用を頂戴いたしました。本日お集まりいただきました,高橋留萌市長様,北海道議会議員の浅野様,留萌振興局の副局長の西崎様,大変お忙しい中ここにご参加いただきまして大変ありがとうございました。
私どもこの留萌本線につきまして,過去には大変賑わいのある線路でございました,特に増毛港からの水産物の輸送だとか,また石炭なり木材なり,そういうものの物資の輸送,こういうものに非常に長く携わった当時でございましたけれども,やはりモータリゼーションの発達等々によりまして,お客様の数もたいへん減ってまいったということでございます。それに加えまして,この留萌・増毛間,沿岸に近いということもございまして,雪崩とかそういう災害も多数頻発いたしました。脱線事故等も過去には発生しまったというようなこともございました。
それと併せまして,老朽構造物が非常に多くなっております。95年という歴史ある中での老朽化というものも,進んでまいってしまいました。そういう様々な事情がございまして,昨年の8月に沿線の自治体の皆さまにこの線区の鉄道事業の廃止をご提案させていただきました。沿線の自治体の皆さまに,非常に真摯にご議論をいただいたり,様々なアドバイスも頂戴してまいったわけでございまして,そういう中で本日この留萌本線,留萌・増毛間の最終の列車運行ということになったわけでございます。
私どもこの列車につきましては,本日で運行が終わるわけでございますが,やはりこの留萌地区は北海道でも有数の観光地ということでございます。また様々な歴史的なものがございます。私どももこれからも旅行業等々につきまして,非常に多くのお客様がこちらにお越しになるというようなことも,期待をしておるわけでございます。いろいろと今までに変わらないお手伝いができれば大変私どももありがたいというふうに思ってございます。
最後になりますけれども本日ここに留萌本線,留萌・増毛間の最終列車の運行の日に当たりまして,本当に長い間,地元の皆様方に,ご愛顧頂戴いたしました。また,様々な形で,自治体の皆さまにもご支援を賜りました。私どもこういう支援を,それから温かいご指導をいただきましたことを,肝に銘じまして,これからも一緒になってこの地区のご発展に,尽くしてまいりたいというふうに考えているところでございます。最後になりましたけれども,本日は大変お忙しい中,関係の皆様方,多く参列いただきました,私どもこの日をまた心に刻みまして,この地区の発展に尽くしていきたいと思います。それからここにお集まりの皆様方の,今後のご健勝を祈念いたしまして,わたくしからのご挨拶に代えさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
【留萌市 高橋定敏市長挨拶】
本日はみなさん本当にありがとうございます。昨年から,全国各地から足を運んでいただいた鉄道ファンの皆様方に,心から感謝の誠をささげたいと思います。
今朝,6時50分,留萌から増毛行の列車を,朝,見送りいたしました。車両は人で人で埋まっておりました。私は小学校時代,増毛のリンゴ狩りやさくらんぼ狩りに行くときに○○○○列車に乗っていたなと,そんな思いで見ておりました。2便の臨時列車は,私は○○で見送りさせていただきました。3両でした。その3両も人で人でいっぱいでした。中学校時代暑寒川に上るシャケのせんたいを見るのに学習の一環として行ったことを思い出しました。本当に素晴らしい自然環境だな。3回目,礼受町の駅で,見送りをさせていただきました。この列車も人であふれていました。山手線のラッシュアワーのように,大勢の人に乗っていただきました。海と山のほうを望みながら,高校時代,暑寒岳の登山のたびに,この列車を利用していたんだなということを,思い起こしました。留萌・増毛間,多くの人が利用していたこの列車に,いろいろな思いをもって,今日この日を,迎えたのではないかと思っております。
鉄路はなくなりますけれども,どうか全国からこの町を,見ていただいた,このまちの,この地域の魅力を見ていただいて,もう一度鉄路がなくなった後,どういうまちづくりが行われるのか,どういう姿で地域住民は頑張っているのか,その姿を多くの皆様方に見ていただきたいと思います。
改めて今日最終日,来ていただいた多くの皆様方に,心から,心から感謝を申し上げ,私からのご挨拶に代えたいと思います。本当に長い間95年間,ありがとうございました。