平均寿命でいえば,私も折り返しに近くなりましたので,本当に時間を何に使うべきかをよく考えないといけません。
そういう中で,最近,本を作ろうとしている人が増えているように思います。私もホームページで十分と思っていたのですが,あと10年か,うまくいって20年は持っても,50年,100年先に残そうと思うと,結局は紙媒体しかないわけです。
都築響一著『圏外編集者』。青山ブックセンターで大々的に平積みされていたのでたまたま見つけたのですが,まさに本を作るということがテーマとなっており,大いに刺激を受けました。コミケに関しても触れられており,都築さん自身もコミケに一度出展してみたいと思っているというようなことが書かれていました。私も周回遅れではありますが年末に初めてコミケに行って,これからアニメ,オタクの枠を脱した上で,あのような自費出版という形での文化活動が盛んになっていくのではという予感がしています。
その種の本として最近話題の『礼文華観光案内』をようやく入手しました。鉄道以外で行くことができないと言われている室蘭本線の小幌駅ですが,実は古来より小幌駅周辺には網目状に道がついていたとする内容で,想像以上の労作でした。あとがきに,鉄道ファンには受けなかったとあるのはとてもよくわかります。
今日豊浦町で小幌に関するイベントがあったようですが,今後どのように発展していくのか楽しみです。こういう,道にかかわることというのは,50年,100年と伝えていくのにふさわしいことだと思います。
年末の忘年会に参加したとき,よく事情がわかっていなかったのですが,「萬(よろず)」という雑誌が話題になっていました。その編集発行人の方が参加されていて,1つ年上の方でしたが,もう20年近く前に出版されています。古本でいくつか購入してみました。
廃墟ブームを作った雑誌として知られているそうですが,「ゆとり文化機関誌」を名乗り,ちょうどWebバブル直前の紙媒体しかなかった時代の最後を飾るといってよい,上質の内容にあふれていました。こういう20年近く前に細々と出版されていた雑誌が,いまなお亡霊のように話題に上るのも紙媒体ならではで,良いものだなと思いました。
とはいえ,旅行記の1日分を書くのに1か月も要している現状では,まとまったものを作るのは難しいかなと思っています。