今回のテーマは,「どうなる夕張支線−過去の歩みから未来を見つめる−」です。
会場は旧夕張小学校の夕張共生ファーム。夕張駅から歩いて10分弱のところにあります。旧校舎には食堂の「フォームカフェらぷらす」が入っていて,700円でバイキングをやっています。今日はクリスマスランチバイキングというイベントだったからかもしれませんが,すごい量の食事が用意されていました。
ゼミの講師は,北海道新聞社夕張支局長の佐藤元治氏。鉄道史に造詣が深いということで,本格的な講義が聴けました。
内容は大きく2つで,一つは「9→5」ショックと題し,来年3月のダイヤ改定で夕張支線の列車が9往復から5往復に減る見込みですが,どこまで過去をさかのぼれば5往復だった時代に行きつくかというお話でした。結局,日本の鉄道が疲弊を極めていた,昭和22年までさかのぼらなければならないとのことです。
もう一つは「夕張線の誕生と発展」というテーマで,より古い時代のことと,特に追分〜夕張間がかつて複線だったということに注目してのお話でした。
夕張支線に関して私の認識としては,もともと石炭輸送メインで旅客輸送の比重は低く,旅客にとっては夕張鉄道やバスの役割が大きかったのではないかと思ってましたが,その辺含めてもっといろいろと講師の方,市民の方にお話を伺いたかったのですが,どうもあまり盛り上がっていなかったですね。
現在夕張支線は,重さにして高々1トンの乗客を,40トンの車両で,それも平坦ならともかく,150メートルの高低差を上り下りしているわけですから,エネルギー的,経済的合理性を考えるなら,即刻廃止したほうが良いわけです。
しかし鉄道がそういう状況だからバスが繁盛しているかというと,今日帰りは高速ゆうばり号を使いましたが,栗山まで乗客は私だけと,鉄道より厳しいですね。
結局,みんなマイカーを使うわけですが,マイカーを自由に使える時代がこの先ずっと続くとは思えません。だからと言って,夕張の場合地形的に見て鉄道が復活することにはならないでしょうが,私自身鉄道に乗ることで得た出会いや勉強させていただいたこと,鉄道がまちにもたらす価値のようなものが,いま顧みられない風潮にあることは,悔しい思いがします。
ただ,減便されても5往復は残るわけで,札幌方面から利用しやすい時間帯の列車はだいたい残るようです。夕張も石炭の歴史村,ユーパロの湯,東山聖苑など過去の観光施設は壊滅的な状況ですが,最近はカレーうどんの店もたくさんできたみたいですし,何より鉄道が走っているのは今や奇跡的な状況ですので,ぜひ多くの人たちに夕張を訪れて街を歩いてほしいですね。
ところで,3月のダイヤ改正の概要がJRから発表されました。良くなった面があまり伝えられていませんが。札幌〜旭川・室蘭・函館間のアクセスや札幌近郊の通勤電車は革命的に利便性が上がりますね。ローカル線列車の削減に関しては,こう言うのも悔しいですが,廃止される列車の多くは,なくなってもそう困らない列車で,重要な列車は大概残っています。もちろん,深刻な問題を生ずる人も確実にいるでしょうし,残念ながら改善の陰で犠牲になった列車もあるように思います。
やはり急行はまなすの廃止は痛手です。現状,はまなすから新幹線に乗り継ぐと,東京に9時台に着くのが,新幹線開業は何と14時台になってしまいます。東北方面のアクセスも柔軟性がなくなります。通常,夜行列車の廃止の場合は,代替手段として夜行バスがありますが,はまなすには代替手段がなく,新幹線開業の犠牲になったと言わざるを得ません。
あと,滝川8:05発富良野行快速列車の廃止も,学生時代から何十回と利用しただけに,なぜという気がします。旭川行のカムイの始発が繰り上がるとのことで,先行の富良野行への接続がとられることを期待しますが,一日散歩きっぷで利用可能な札幌からの下り始発普通列車からの接続はなくなるでしょう。もっとも,一日散歩きっぷもこのまま廃止になるかもしれませんが,ちょうど私が大学1年のときに一日散歩きっぷが発売になり,滝川8:05発富良野行列車で実家に帰省することを通じて,鉄道の旅に興味を覚えたことを考えると,こうした手段が今後なくなることは残念です。