2013年06月24日

オンコの剪定

通勤で通る会館の前に,形のよいオンコ(イチイ)の木が2本あったのですが,一昨年でしたか,剪定の失敗で2本とも完全に枯れてしまいました。
先日,そのオンコの木が切られて,切り株に招き猫が置いてありました。
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ここに限らず,最近,オンコの木が剪定でダメになってしまっているのをよく見かけます。

オンコは私にとっても,とてもなじみのある木で,今は跡形がありませんが,引っ越す前の実家は,大きなオンコの木が十数本,家の東側と南側をぐるりと取り巻いていて,その中に2本登りやすい木があって,よく登って枝に腰かけて読書をしていたものです。

2年に1度,オンコの木を切らせてほしいといって,当時80歳ぐらいのおじいさんが,5キロほど離れた山奥から,自転車でやってきていました。身軽な方で,脚立は使わずに,木に登って上のほうまで剪定していました。弁当を持ってきて,朝から晩まで切るのですが,たしか2週間ほどかけて丁寧に切ってしました。

最後の日,あいさつに来られると,祖母がお礼にと2万円を差し出していましたが,おじいさんは,好きで切らせてもらってるのだから,ええです,ええですと何度も断りながら,お礼を受け取っていたのを印象深く覚えています。

もちろん,剪定の失敗で木が枯れるということはまったくありませんでした。ところが,おじいさんが高齢のため来れなくなってから,安い料金で何でもやってくれる団体に剪定を頼んだのですが,それで木のかなりが一気に枯れてしまいました。

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いまは,何十年先を見て庭に木を植える人はいなくなり,剪定の名人というような人もなかなかいなくなりましたが,もう一度そういう庭の木を愛でるようなゆとりある時代が来てほしいと願わずにはいられません。
posted by onitoge at 22:47| Comment(0) | 日記