2011年06月05日

公開セミナー その3 経歳鶴

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東大演習林内最高峰の大麓山。標高1459m。演習林内からしか登山道がない山で,毎年登山会が行われているそうです。

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こちらは,標高931m,経歳鶴という三角点のある山からの眺望。演習林の東側境界に位置し,眼下は国有林ですが,一面の樹海は圧巻でした。十勝平野まで望むことができました。ここで昼食となりました。
経歳鶴(けいさいつる)とは妙な名前ですが,アイヌ語のペトツルを当て字したものらしいです。

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下りはバスに乗り,次は倒木更新の見学です。写真は,9本の木が倒木の上で一直線に並んでいる場所。樹齢は200年近く,倒木も200年近いことを考えると,400年の時間の流れがここに凝縮されていることになります。倒木上の木は太さが違いますが,樹齢はほとんど同じで,芽を出した時期のちょっとした違いが日当たりの違いとなり,太さの違いに現れるそうです。
エゾマツは,こうした倒木更新のように条件が整わなければ天然更新が難しく,現状では木を伐れば伐るほどエゾマツの森が減っていくそう。この点が,林分施業法の課題としてあげられるとのことです。ただ,北海道でエゾマツの天然更新が難しいのは,エゾマツの南限に位置しているからで,樺太などではまったく問題なく更新できているとのことでした。

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見学コースのクライマックスは,西達布川源流の湧き水。山肌から豪快に水が湧き出ています。ここから出ている水は,約30年前に降った雨で,湧出量は0.6t/秒にもなるそう。

以上,紹介したのはごく一部で,途中にはいろいろな野草や山菜,動物の食痕があり,それらの説明も受けながらの楽しい散策でした。

東大演習林といえばクマゲラが有名ですが,演習林内にいるクマゲラは20つがいくらいではないかとのこと。また,ヒグマはある程度特徴などから個体が特定されているそうですが,10〜15頭くらいが生息しているとのこと。これだけ恵まれた230平方kmに及ぶ天然林でも意外と少ないものだと思いました。やはり人間のほうが多すぎですね。

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最後,東大樹木園で苗木の生産を見学しました。初めて知りましたが,トドマツ,エゾマツ,アカエゾマツという北海道の自生種の育苗技術が確立されたのは50年前くらいからで,それ以前の人工林はカラマツ,ストローブマツなど外来種を植えるしかなかったそうです。特に,エゾマツの育苗技術が実用化されたのはこの10年くらいで,いまだ発展途上にあるとのこと。

以上,生産を行う森林としてはあまりにも恵まれていて,一般の民有林とのギャップも感じましたが,今日は大変ためになったセミナーでした。
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公開セミナー その2 91林班

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バスは国道から市道の三の山線に入りました。途中,昭和51年に廃校になった三ノ山小学校がありました。生涯,教壇に立たなかったことで知られるどろ亀先生ですが,この小学校の教壇にだけは何度か立ったことがあるそうです。

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バスはいよいよ専用林道に入ります。仙人峡と書かれていましたが,由来はわからないそうです。総延長933kmに及ぶ林道ですが,思いのほか良く整備されていました。15年から20年周期で行われる択伐の際には,林道にも砂利が入れられて整備されるそうですが,それ以外のときでも草刈りなどの維持を行っているそうです。

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91林班で人工林施業の見学。演習林の約1割にあたる約3000haは人工林となっています。人工林のほとんどは,台風などの災害の跡だとのことでした。ここでは,樹木園で育成された苗木の植樹について説明を受けました。樹種は,トドマツ,アカエゾマツ,エゾマツの3種類で,遺伝子の拡散を起こさないよう,すべて演習林内で採取した種子で苗木を育成しているそうです。人工林といっても単一の樹種にはせず3種類を混ぜて植え,間伐もせず,最終的には針広混交林を目指しているそうです。写真は昨年植えられた,7年生のトドマツ。

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トドマツとエゾマツの見分け方を教えてもらいます。枝が上向きか下向きかで見分けるとよく言いますが,実はそれではよく見分けがつかないことも多いとのこと。

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今日は例年と趣向を変え,歩く時間を長くしたということで,森の中を時間をかけてずっと歩きました。標高900mを越えると,森林限界に到達し,木がまばらになってきました。
posted by onitoge at 22:41| Comment(0) | 日記

東京大学北海道演習林 第17回公開セミナー

今日,富良野市の東大演習林で公開セミナーがあり,参加してきました。富良野市域の約1/3を占める広大な演習林ですが,基本的には関係者以外立ち入り禁止のため,私たちが内部に入ることのできるほとんど年に1度の機会です。
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9時に山部の事務所に集合。ここで簡単な説明を受け,マイクロバスで出発しました。

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まずは国道38号線沿いの51林班,通称「ポン太前」で里山天然林施業見学。ポン太前とは,かつてあったドライブインの名前に由来するそうです。春紅葉がきれいな里山ですが,ここが林分施業法がいちばんうまくいっている場所で,既に4〜5回択伐を行っていながら良好な天然林が維持されているとのこと。

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その森の中に歩いて向かいました。

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ここで伐採する木を決める「選木」について説明を受けました。トドマツを主体とする天然林ですが,様々な齢級のトドマツが混在しているのが林分施業法が成功している証とのこと。

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弱ってきた木を切ると,日が差し込むようになり,周りの木の生長が促されます。
今回再認識しましたが,この演習林は,標高の高い場所にある一部の保存林を除き,大部分はどろ亀先生(高橋延清先生)が提唱した林分施業法の考え方のもと,木材の生産が行われているということです。材として出すのは,1本数百万で取引されるウダイカンバなどの銘木のほか,一般の建材やパルプ用にも出材しており,年間の販売額は1億3千万円にもなるそうです。
天然林から造材するというのは,たぶん今の時代,ほかではありえないことで,100年以上の間,東大が一貫して管理を行ってきたからこそできることなのだと思います。
posted by onitoge at 22:08| Comment(0) | 日記